ビジネスシーンでもよく使われる「問題」と「課題」という言葉にフォーカスします。
実際のところ意識して使い分けしている人は少なく、この二つは同じ意味で使われていることが多いように感じます。
実用的かはさておき、二つの言葉の意味を深堀します。それぞれの意味を広辞苑で調べると以下の通りです。
問題
- 問いかけて答えさせる題。解答を要する問い。「試験問題」「入試問題」
- 批判・論争・研究などの対象となる事柄。研究・論議して解決すべき事柄。「そんな提案は問題にならない」「経済問題」
- 争論の材料となる事件。困った事柄。厄介な事件。「新たな問題が起きる」
- 世間が関心をよせているもの。人々の注目を集めている話題。「問題の議員」
課題
- 題目、主題を与える、または、与えられる題目や主題。「論文の課題」「課題図書」
- 解決しなければならない問題。果たすべき仕事。「公害対策は今日の大きな課題である」「緊急課題」
注目すべき点として課題の説明の中に「問題」という文言が出てくることです。
つまり、問題とは起きている事象や事柄そのものを指している。課題とはそれらの問題に対して解決すること、行動や取り組みのニュアンスが含まれているといえます。
例えば、家の目の前で車かバイク、自転車などの交通事故が起きたとしましょう。その時「家の前で何か問題が起きている」とは言っても「家の前で何か課題が起きている」とはあまり言いません。
これは、「事件」そのものは「問題」であること。またその問題に対して解決すべきものがあるのか?あるとしてもそれがまだ何か分かっていない状況では「課題」として捉えることができないからといえます。
交通事故という問題に対し、もし渋滞が発生しているとしたらその渋滞を解決すべき問題=課題として捉えることができます。
発生した問題が何かを認識し、それらを解消するためにやるべきことが判明してはじめて「課題」となる、ともいえます。
「課題」の使われ方
もう一点、「課題」の使い方です。
先の例では、交通事故による渋滞に対して解決すべき問題=課題と記載しました。
この時、「課題は渋滞です」や「問題は渋滞です」と表現した場合、一見どちらも違和感なく受け取れます。
ただ厳密にいうと「課題は渋滞です」という表現は適切でないとする意見が多いです。課題を表現する場合、
「課題は交通事故の車両を撤去して渋滞を解消すること」、「課題は交通整理を実施して渋滞を解消すること」というように、解消方法を合わせて記載します。
つまり、渋滞という事象そのものは問題であり、課題を語る場合はその問題を解消するための行動や取り組みを記載する、ということです。
渋滞に対する解消の行動や取り組みとは「車両を撤去すること」や「交通整理を実施すること」であり、果たすべき仕事=課題となります。
課題と問題を意識して使われているのか?
ビジネスにおいて課題と問題を同じ意味で使いがちで、厳密に使い分けしている人は少ない印象です。
ここまで記載した通り問題と課題はビジネスシーンで頻繁に出てくるものですが、それぞれ意味は異なります。
問題とは突然発生したりする事象や事柄そのものあり、即座の対応が必要で原因の特定と解決が焦点です。
一方で課題は、発生した問題に対して解消すべき行動や取り組みを指します。
これらを認識し正しく理解しておくことは重要と考える一方で、ビジネスにおいて正確に用語の使い分けをされているのかといえば、これは個人的な意見ですが曖昧に利用している人が多いと感じます。
だからといって使い分けできていないことを咎められることもないでしょう。
過度に使い分けることにこだわる必要はないものの、違いを理解しておくことは重要です。