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2020年12月18日金曜日

財務・会計 〜デリバティブとリスク管理〜

デリバティブの種類

先渡取引(フォワード)

様々な原資産について、原則として、二者間で店頭(相対(あいたい))で行われる取引のことである。取引する原資産、取引条件などは取引の当事者間で任意に取り決める。受渡方法については、受渡決済日における現物決済(現物をすべて受け取り、購入代金を全額用意する)である。以下に示す先物取引(フューチャー)における「証拠金」や「値洗い」による信用リスクの回避はない。

先物取引(フューチャー)

様々な原資産について、原則として、取引所で不特定多数の取引参加者間で行われる取引のことである。受渡方法については、市場が決めた期日(取引最終日)までに反対売買(同じ商品に対する売りと買い)により差金決済することが一般的である。差金決済とは、例えば、100万円で買った商品を110万円で売った場合、100万円を入金することなく、差額の10万円だけを受け取るといった決済のことである。「証拠金」と「値洗い」によって契約の履行を取引所が保証しているため、信用リスク(契約の相手方が債務を履行しないリスク)は少ない。「証拠金」とは、取引における債務の履行を確実なものとするために取引の当事者が取引所へ差し入れる一定金額のことである。「値洗い」とは、先物の損益を日々計算しなおし、差し入れている証拠金がこの損益の水準に満たない場合、追加の差し入れを行うことである。

金利スワップ取引

同一の通貨間で金利を交換(固定金利と変動金利の交換、種類の異なる変動金利間の交換など)するスワップである。日本銀行が公表している「外国為替およびデリバティブに関する中央銀行サーベイについて(2016年6月末残高調査):日本分集計結果」などによると、わが国のデリバティブ取引において、想定元本ベースで今日最も多く取引されているものは金利スワップであり、継続的に金利スワップが最大のシェアである。「想定元本」とは、取引において元本の交換の対象とはならない場合であっても、金利の計算等のために想定される元本のことである。

通貨スワップ取引

異種の通貨間で金利・元本を交換するスワップである。

オプション取引

次の4種類に分類される。
「買う権利」のことをコール・オプション
①「買う権利」の購入
②「買う権利」の売却
「売る権利」のことをプット・オプション
③「売る権利」の購入
④「売る権利」の売却

2020年12月10日木曜日

財務・会計 〜企業価値の評価モデル〜

企業価値を評価する代表的なアプローチを3つ記載する

(1)マーケット・アプローチ

市場において成立している株価およびこれに基づく指標により、企業価値や株主資本価値を算定する方法
株式市価法

株主資本価値 = 株式時価総額 = 発行済株式総数×株価

マルチプル法 (乗数法)

PER(株価収益率)= 株式時価総額÷当期純利益 = 株価÷EPS(1株当たり当期純利益)
PBR(株価純資産倍率)= 株式時価総額÷純資産 = 株価÷BPS(1株当たり純資産)

(2)インカム・アプローチ

将来のキャッシュフローや利益の期待値を投資家の期待収益率で現在価値へ割り引いた額の総和として、企業価値や株主資本価値を評価する方法

割引キャッシュフロー法(DCF法)

企業価値 =フリー・キャッシュフロー(FCF)÷加重平均資本コスト(WACC)

収益還元法

株主資本価値 =税引後利益÷株主の期待収益率

(3)コスト・アプローチ(ストック・アプローチ)

企業の資産、負債の価値を直接評価することによって企業価値を算定する方法

簿価純資産法

資産と負債の評価額として貸借対照表の簿価を用い、株主資本価値は「株主資本価値=資産(簿価)-負債(簿価)」 により求める方法
時価純資産法(修正純資産法)

資産と負債の評価額として時価(資産を再調達すると仮定した場合の原価)を用い、株主資本価値は「株主資本価値=資産(時価)-負債(時価)」 によって求める方法。

2020年12月3日木曜日

財務・会計 〜企業会計の目的と貸借対照表〜

1-1 企業会計の目的

・会社法上の計算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書および個別注記表が該当する(会社法 435条2項、会社計算規則59条1項)
・計算書類の作成と報告に当たっては、会社法のほかに法務省令である会社計算規則・会社法施行規則などに準拠しなければならない。財務諸表等規則は、金融商品取引法のもとに作成・報告される財務諸表が準拠しなければならない内閣府令である。
・事業年度の末日において会社法上の大会社であって、金融商品取引法の適用を受けて有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない企業は、当該事業年度に係る連結計算書類を作成しなければならない(会社法 444 条3項)
・取締役会設置会社では、取締役会の承認を経た計算書類と事業報告(監査報告、会計監査報告を含む)は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の招集通知に際して株主に提供する(会社法437条、会社計算規則133 条)。このような会社法上の開示形態を直接開示という。
・企業会計原則は、一般原則、損益計算書原則および貸借対照表原則から形成されている。
・一般原則には、真実性の原則、正規の簿記の原則、資本取引・損益取引区分の原則、明瞭性の原則、継続性の原則、保守主義の原則および単一性の原則がある。このうち真実性の原則が他の一般原則の上位原則と位置づけられる。
・「企業が選択した会計処理の原則および手続を毎期継続して適用しないときは、同一の会計事実について異なる利益額が算出されることになり、財務諸表の期間比較を困難ならしめ、この結果、企業の財務内容に関する利害関係者の判断を誤らしめることになる」(企業会計原則注解・注3)ため、正当な理由により変更が行われる場合を除き、継続性の原則が要求されている。
・企業会計原則・一般原則七では、「株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない」と述べられている。単一性の原則は、二重帳簿を禁止するものである。
・企業会計原則・損益計算書原則一・Aでは、「すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない」と述べられている。費用・収益はその支出および収入の時点で認識されるのではなく、その支出・収入に基づいて、発生・実現した期間に認識されることになる。これを発生主義会計という。これに対して、支出・収入の時点で費用・収益を認識する考え方を現金主義会計という。
・企業会計原則・一般原則六では、「企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない」と述べられている。同原則では、予想される費用・損失はあらかじめ計上し、もって利益の控えめ目の計上をすることで企業の財務健全性を確保するねらいがある。ただし、過度に費用・損失を計上することは真実な報告を要求する真実性の原則を歪めることになる。つまり「合理的な見積額を上回る費用」の計上をすることは、真実性の原則に反するため認められない。

1-3 貸借対照表
・流動資産と固定資産の区分において、企業会計原則注解16第7段落では、恒常在庫品や余剰品については、長期間にわたって所有するものも固定資産とせず流動資産に含ませるものと規定している。恒常在庫品については、企業が経営活動を円滑に行うためには、常時、最低保有量を確保しておき、その部分が欠けることがないように絶えず保有しておかなければならないので、流動資産とする。また、余剰品とは、販売方針・製造方針の変更等により、当分の間使用される見込みのなくなったものをいい、実務的に余剰品か否かの判断の困難性を考慮して、流動資産に含める。
・企業が主目的たる営業取引以外の取引によって発生した債権の具体例としては貸付金や未収金がある。これらは、(正常)営業循環基準の適用を受けず、1年基準(ワン・イヤー・ルール)の適用により流動資産と固定資産に分類される。貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金の期限が到来するものは、流動資産に属する。なお、貸借対照表日とは決算日を指す(企業会計原則・注解 16・第2段落参照)。
・前払費用は、1年基準の適用により、「貸借対照表日の翌日から起算して1年を超える期間を経て費用となるものは、固定資産(投資その他の資産)に属するものとする」。なお、この場合、長期前払費用勘定で記載される。ちなみに、同じ経過勘定項目(費用・収益の見越し・繰延べの項目)であっても、未収収益、未払費用および前受収益は常に流動項目として扱うことに注意しなければならない(企業会計原則・注解16・第 5段落参照)。
・預金は、1年基準の適用により、「貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて期限が到来するものは、固定資産(投資その他の資産)に属するものとする」(企業会計原則・注解 16・第3段落参照)。

英語の知識 〜母音〜

英語の母音 cut,but /ʌ/ away,about /ə/ arm,father,calm /ɑː/ cat,bad /æ/ get,met /e/ first,bird /ər/ bit,hit,sit /ɪ/ see,he,eat /iː/ hot,got /ɑ/ ta...