バリューエンジニアリング(VE)
対象物の価値はコストに対する機能としてとらえられ、V(価値)=F(機能)÷C(原価)の式で定義しており、以下①~④の手順で価値を高めるための改善案を検討する。
①同じ機能のままコストを下げる
②同じコストで機能を高める
③コストを下げると同時に機能を高める
④コスト上昇に見合った以上に機能を高める

対象物の機能の定義
対象物の機能を定義する際に、 名詞と動詞の二語に分けて定義する。具体的には、カッターや鉛筆の機能を定義する際に、「モノを切る」「文字を書く」などのように、「XXをXXする」というように記述する。名詞と動詞の二語だけで表現することで、対象物の機能を抽象化でき、広い範囲からの発想が可能となる。また複数の機能を一度に考えることがなくなり、 問題を単純化することが可能となる。
対象物の機能評価
対象物の機能を金額で評価するときは、材料費、労務費、経費の総コストで評価する。
機能体系図
機能を目的と手段の観点で階層化して示した図である。
VE活動手順
製品開発
製品開発とは、「顧客ニーズの変化、生産者の技術向上、地球環境への対応などを動機として新たな製品を企画し、その製品化を図る活動」(JIS Z8141-3101)で、一般に製品企画、機能設計、製品設計、生産設計、工程設計などの順に具体化される。
製品企画
商品企画7つ道具は、1995年に提案された商品企画のための市場調査やアイデアを引き出すための方法で、次のような分類と順序で用いる。1.ニーズの探索・検討:①グループインタビュー、②アンケート調査、③ポジショニング分析2.コンセプトの樹立:④発想チェックリスト、⑤表現式発想法、⑥コンジョイント分析。3.設計・試作・評価:⑦品質表。以上の手順で進める。コンジョイント分析は、商品属性を要因、属性の有無や程度を水準とした多因子実験計画に基づく商品プロファイルを作成し、各商品プロファイルの選好を被験者ごとに測定した実験結果から要因効果を推定し、商品属性の効用を計量する分析方法である。
機能設計
機能設計は期待する製品の性能を発揮するのに必要な機能とそれらの関連を求め、各機能を実現させる構造を求める活動である。
製品設計
製品設計は期待する製品の性能を発揮させるために、構成部品の機能・形状とそれらの関連を決める活動である。
生産設計
生産設計は機能設計の内容について生産に対する容易性・経済性などを考慮して設計する活動、またはその設計図である。
工程設計
工程設計は製品設計で指定した製品品質、生産量、納期を考慮した工程表や工程図を作成し、作業方法および生産設備を選定する活動である。
フロントローディング
製品製造やシステム開発のプロセスにおいて、初期工程(front)の開発・設計に重点を置いて労力・資源を集中的に投入(load)し、後工程である生産・販売・使用・廃棄などで発生しそうな負荷(仕様変更など)を前倒しにすることで、品質向上や納期短縮を図る方法である。生産技術や量産技術を先取りした設計・開発する場合は、未知のリスクが特に大きいため、フロントローディング活動の重要性が高まる。なお、3次元CADデータを活用したCAEの普及もその活動の1つと位置付けることができる。
コンカレントエンジニアリング
「製品設計と製造、販売などの統合化、同時進行化を行うための方法」(JIS Z8141-3113)である。特に上流にある概念設計、製品設計、工程設計などを同時並行的に行い、製品開発の上流プロセスはできるだけオーバーラップして行い、設計から製造に至る各種の業務を同時並行的に進めることで、量産までの開発プロセスを短期化することができる。
インダストリアルデザイン
工業的な生産手段によって大量に生産される製品(工業製品)を人間にもっともよく適合するように計画し、デザインする創造的活動である。
デザインレビュー
新製品の設計のできばえを評価・確認する方法の一つである。新製品の設計段階で、関連するさまざまな部門からの代表者などが検討することにより、設計の矛盾や誤りを排除する。
マーケットイン/プロダクトアウト
マーケットイン(market in)とは、顧客の声、顧客の要求や困りごとをもとに、それらを解決するような製品を市場へ投入しようとする考え方のこと。 一方で、製品を提供する企業側が有益と判断し、そのような製品を市場へ投入しようとする考え方をプロダクトアウト(product out)と呼ぶ。

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