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2021年9月12日日曜日

中小企業経営・政策 〜2021年中小企業白書 1-2〜

第1部第2章 中小企業・小規模事業者の実態


中小企業の労働生産性は長期的に横ばい傾向で推移している。一方で、中小企業の中にも大企業の労働生産性を上回る企業が一定程度存在しており、こうした労働生産性の高い中小企業を増やしていくことが今後人口減少に直面する我が国にとって重要である。加えて、我が国の開廃業率は国際的に見て相当程度低水準であり、中小企業全体の生産性を向上させていく上での課題と考えられる。
第1節 多様な中小企業・小規模事業者

従業者数

業種別、企業規模別に従業者数の内訳の全体を見ると、従業者数のうち約7割が中小企業で雇用されている。また、「卸売業」、「サービス業」において中小企業の全体に占める割合が相対的に高くなっている。特に「サービス業」の内訳を見ると、「生活関連サービス業,娯楽業」、「教育,学習支援業」において、従業者数のうち中小企業の構成比が8割を超え高く、中小企業の雇用における存在感が大きいことが分かる。
付加価値額

業種別、企業規模別に付加価値額の全体を見ると、我が国の付加価値額の5割以上を中小企業が生み出していることが分かる。また、「卸売業」、「サービス業」では、付加価値額全体に占める中小企業の割合が相対的に高くなっている。このうち、「サービス業」についてその内訳を見ると、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「教育,学習支援業」では、約7割の付加価値額が中小企業によって生み出されており、業種内での中小企業の存在感の大きさがうかがえる。
業種別に資本金規模別の企業分布

いずれの業種においても、個人事業者及び資本金5,000万円未満の企業が大半を占めていることが分かる。また、「小売業」、「サービス業」では、個人事業者の全体に占める割合が相対的に高いことが見て取れる。
業種別に常用雇用者規模別の企業分布

いずれの業種においても、常用雇用者数が50人未満の企業が大半を占めていることが分かる。また、個人事業者の割合が高い「小売業」、「サービス業」では、常用雇用者数が4人以下の企業の割合が約8割を占めており、他の業種と比べて構成比が高くなっている。
第2節 中小企業・小規模事業者の労働生産性

将来的に人口減少が見込まれる中、我が国経済の更なる成長のためには、企業全体の99.7%を占める中小企業の労働生産性を高めることが重要である。中小企業の労働生産性は製造業、非製造業共に、大きな落ち込みはない
ものの、長らく横ばい傾向が続いている。
業種別の労働生産性の規模間格差

「建設業」や「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業」では大企業と中小企業の労働生産性の格差が大きい。一方で、「小売業」や「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」では、大企業も含め業種全体での労働生産性が低いこともあり、企業規模間の格差は比較的小さい。
第3節 開廃業の状況

我が国の開業率は、1988年をピークとして低下傾向に転じた後、2000年代を通じて緩やかな上昇傾向で推移してきたが、足元では再び低下傾向となっている。廃業率は、1996年以降増加傾向で推移していたが、2010年からは低下傾向で推移している。
業種別に開廃業の状況

「宿泊業, 飲食サービス業」が最も高く、「生活関連サービス業,娯楽業」、「情報通信業」と続いている。また、廃業率について見ると、「宿泊業,飲食サービス業」が最も高く、「生活関連サービス業,娯楽業」、「小売業」と続いている。開業率と廃業率が共に高く、事業所の入れ替わりが盛んな業種は、「情報通信業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」であることが分かる。他方、開業率と廃業率が共に低い業種は、「製造業」、「運輸業,郵便業」、「複合サービス事業」となっている。
諸外国の開廃業率の推移と比較

各国ごとに統計の性質が異なるため、単純な比較はできないものの、国際的に見ると我が国の開廃業率は相当程度低水準であることが分かる。

2021年9月11日土曜日

中小企業経営・政策 〜2021年版 中小企業白書1-1〜

第1部第1章 中小企業・小規模事業者の動向


新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)の影響により、中小企業・小規模事業者を取り巻く環境は大きく変化し、企業経営にも甚大な影響が生じている。中小企業・小規模事業者の業況や業績、設備投資の状況は悪化した一方で、感染症の流行を契機としてソフトウェア投資の重要性が高まりつつある状況が見られる。また、業績の悪化が広く見られる中で、資金繰り支援策の効果などにより倒産は低水準にとどまっている。雇用環境は、非正規雇用を中心に影響が生じており、従業者規模の小さい企業の雇用者数が減少する一方で、中小企業・小規模事業者の一部では依然として人手不足の状況が続いている。今後も感染症の影響による厳しい状況が続くと見込まれる中、中小企業・小規模事業者は多様な経営課題に対応することが求められている。

第1節 我が国経済の現状

2020年は感染症の世界的流行に伴い、我が国の実質GDP成長率は2019 年を大きく下回る。2020 年は第1四半期及び第2四半期(前期比8.3%減)はマイナス成長が続いたものの、国内外における社会経済活動の段階的な引上げに伴い、第3四半期(前期比5.3%増)、第4四半期(前期比2.8%増)は2四半期連続のプラス成長となった。
サービス産業の売上高

サービス産業を見ると、「宿泊業, 飲食サービス業」、「生活関連サービス業, 娯楽業」で売上高が前年同月比で大幅に減少している一方で、「情報通信業」の売上高は2020年2月以降は前年同月より減少して推移していたものの、10月からは前年同月とほとんど変わらない水準で推移しており、産業ごとに感染症流行による影響の度合いが異なる状況が見て取れる。
第3次産業活動指数

第3次産業全体としては2020年5月まで大幅な低下となった。その後、緊急事態宣言の解除等もあり、6月以降上昇が続いたが、「広義対個人サービス」と「広義対事業所サービス」に分けて確認すると、「広義対個人サービス」が相対的に大きな影響を受けていることが分かる。一方で、「広義対事業所サービス」は均して見れば上昇傾向が続いており、サービスの提供先によって動きが異なる状況が見て取れる。
鉱工業

直接物財の生産に当たる業種のうち、農林水産業を除く鉱業、建設業および製造業(工業)のを一括して鉱工業と呼ぶ。業種別では製造業がその大部分を占める。鉱工業生産指数など重要な経済指標が作成される。
第3次産業

産業は「第1次産業」「第2次産業」「第3次産業」の3種類に分けることができる。第1次産業は、食料や木材などを生産する「農業」「林業」「漁業」が該当。第2次産業は、第1次産業で獲得した材料を使用し製品を製造する産業で製造業・建設業・鉱業が第2次産業となる。一方、第3次産業は、第1次産業・第2次産業に当てはまらない業界で非常に幅広く、商業から金融・保険業、運輸・郵便業まで、様々な種類の業種が対象。
広義対個人サービス/広義対事業所サービス

第3次産業のサービス業中,一般消費者の需要に応じた直接サービスを提供するホテル,クリーニング,理容・美容,カルチャースクール,会員制テニスクラブなど多くの分野が含まれるものを広義対個人サービスと呼ぶ。ビルメンテナンス,警備保障,人材派遣などを対事業所サービスと呼ぶ。
第2節 中小企業・小規模事業者の現状

2020年第2四半期に最も大きく低下したサービス業

業種別の動きを確認すると、宿泊業、飲食業で特に大きく低下したことが見て取れる。
中小企業のソフトウェア投資比率

設備投資が減少傾向となった一方で、ソフトウェア投資は横ばいを維持したため、足元で上昇傾向に転じている。
今後3年間で各分野に資金を投じるために必要な利益や余剰金の確保状況

いずれの業種において「確保できていない」と回答する企業の割合は、従業員規模が小さいほど高い傾向にある。
今後3年間で最も資金を投じたい分野

「十分に確保できている」、「ある程度確保できている」と回答した企業では、「国内の設備・施設等への投資の増加」、「国内の研究開発投資の増加」、「新規雇用の拡大」といった、成長に向けた投資を実施したいと考えている企業の割合が相対的に高い。これに対して、「確保できていない」と回答した企業では、「現預金の増加」、「有利子負債の削減」といった回答の割合が高く、成長に向けた投資が難しい状況にあることが見て取れる。
業種別2020年の倒産状況

感染症の流行によるインバウンド需要の消失や外出自粛などで大きな影響を受けた「サービス業他」を除く業種では、2020年の倒産件数が前年を下回ったことが分かる。また、前年を上回った「サービス業他」の内訳を見ると、「宿泊業」や「飲食業」において倒産が前年比で増加となっている。
業況判断DI

業況判断指数とは、「日銀短観(日本銀行の全国企業短期経済観測調査)」で発表される景気の判断指数のこと。「景気が良い」と感じている企業の割合から、「景気が悪い」と感じている企業の割合を引いたもので、DI(Diffusion Index:ディフュージョン・インデックス)とも表される。DIの数値は50が横ばいを表し、これを上回ると「景気が良い」、下回ると「景気が悪い」と感じる企業が多いことを示す。
コラム「商店街に期待される新たな役割」

「地域の持続可能な発展に向けた政策の在り方研究会」では商店街について「①(商業機能)単独型」、「②(地域コミュニティ支援機能との) 複合型」、「③転換型」に類型化を行い、それぞれの特徴と、課題と対応の方向性について示し、地方公共団体や国の支援について提言した。












第3節 雇用の動向

雇用者数の動き

男女別に正規の職員・従業員数と非正規の職員・従業員数について、前年同月差の推移を見ると、2020年は正規の職員・従業員数がおおむね前年を上回って推移する一方で、非正規の職員・従業員数は前年を大幅に下回る状況が続いている。「宿泊業,飲食サービス業」では正規の職員・従業員数、非正規の職員・従業員数が共に、前年より減少している。また、全体を通して非正規の職員・従業員数の減少が相対的に目立っている。「宿泊業,飲食サービス業」や「生活関連サービス業,娯楽業」は、非正規の職員・従業員の占める割合が相対的に高い業種であり、非正規の職員・従業員が感染症の影響を高く受けていると言える。
従業者規模別に雇用者数

2020年4月以降、従業者規模が「1~29人」、「30~99人」の企業において、雇用者数が前年より大きく減少している状況である。従業者規模がが「1~29人」、「30~99人」の区分の中で業種別に見ると、「宿泊業, 飲食サービス業」、「生活関連サービス業, 娯楽業」において、前年同月比で大きく減少していることが分かる。一方で、「情報通信業」では6月以降は前年を上回っている。従業者規模が「30~99 人」の区分では、「宿泊業, 飲食サービス業」において、前年同月比で大きく減少している状況が見て取れる。
企業の人材確保の状況

従業者数300人以上の企業では、就職希望者数が減少したものの、求人数も減少したため、2021年卒においても求人倍率は1倍を下回る状態が続いた。従業者数299人以下の企業では、求人数が減少した一方で、就職希望者数が大幅に増加したことによって、求人倍率は2020年卒の8.6倍から2021年卒の3.4倍に大きく低下した。依然として、求人数が就職希望者数を上回る状態は続いているものの、人手不足の課題を抱える中小企業にとっては、大卒の人材を確保しやすい状況に移りつつあると考えられる。
人員の過不足状況

「サービス業」において人員が「不足」と回答した企業が約5割と、相対的に多くなっている。「製造業」では人員が「不足」している企業が3割程度存在する一方で、「過剰」となっている企業も1割程度存在している。従業員規模別に見ると、従業員規模が大きい企業ほど、人員が「不足」している企業の割合及び「過剰」となっている企業の割合が共に高くなる傾向があり、人員を適正な水準に維持することが難しい状況が見て取れる。業種別に人員が不足している職種の状況を見ると、「製造業」では「現場職」と回答した企業の割合が7割程度となっており、工場や店舗などでの働き手が特に不足していることが分かる。また、「サービス業」では「技術職(設計、システムエンジニア、デザイナー、運転手などの専門職)」が不足しているとする企業が7割程度と最も高くなっている。業種別に人員過剰となっている職種の状況を見ると、「製造業」では「現場職」が過剰であると回答する企業の割合が8割以上となっている。また、「サービス業」では「技術職」が過剰と回答する企業の割合が相対的に高い。業種別に人員過剰への対応方法を見ると、いずれの業種においても「雇用関係の助成金の活用」と回答する企業の割合が最も高くなっている。また、「新規採用の抑制」、「休業日を設定」、「残業時間の削減」と回答する企業の割合が相対的に高い一方で、「人員の削減」と回答した企業は1割程度にとどまっており、人員過剰の中でも雇用を維持しようとする企業が多いことが分かる。
第4節 取引環境と企業間取引の状況

最も多く取引をしている販売先との取引

感染症流行前後の受注量の変化を業種別に見ると、「製造業」で7割以上、「サービス業」、「その他」で5割以上の企業が、受注量が減少したと回答している。また、受注量が50%超の減少となった企業はいずれの業種でも、1割程度存在している。
企業間取引におけるデジタル化

業種別にリモート商談への対応状況を見ると、感染症流行以前からリモート商談に対応していた企業は、「製造業」、「その他」で5%程度、「サービス業」で1割程度と多くはなかったが、感染症流行後にそれぞれの業種で2割から3割程度の企業が対応するようになったことが分かる。従業員規模別にリモート商談への対応状況を見ると、従業員規模が大きくなるにつれてリモート商談に対応している企業の割合が高くなる傾向がある。また、感染症流行以前は従業員規模による対応状況に差はなかったが、感染症流行後に従業員規模が大きい企業において、リモート商談への対応の必要性が相対的に高まったことがうかがえる。
第5節 中小企業・小規模事業者を取り巻くリスクへの対応

自然災害に対する企業の対応状況

企業規模別に見た、自然災害への対応状況を見ると、「十分に対応を進めている」、「ある程度対応を進めている」と回答した割合は、大企業が約5割であるのに対して、中小企業は約3割にとどまっており、大企業と比べて中小企業の自然災害へのリスク対応が進んでいない状況が分かる。中小企業に対して最も警戒する自然災害を聞くと、近年大きな被害をもたらしている「地震」や「水害(洪水、豪雨など)」への警戒が強いことが見て取れる。企業防災としての取組内容を見ると、「社内連絡網の整備」、「非常時向けの備品の購入」、「飲料水、非常食などの備蓄」といった自然災害発生後、即時に必要となる項目への取組割合は高い。一方で「非常時の社内対応体制の整備・ルール化」、「事業継続資金の確保」などの割合はそれほど高くはないため、被災後に事業を継続するための備えは十分でない可能性が考えられる。
企業規模別BCPの策定状況

「策定している」、「現在、策定中」と回答した企業の割合は、大企業が約4割に対して、中小企業は約2割となっており、大企業に比べて中小企業のBCP策定が進んでいない状況が分かる。BCP を「策定していない」と回答した企業に対して、その理由を聞いたものである。これを見ると、BCPの策定が大きく進展していない主な背景として、BCP策定に関する人材やスキル・ノウハウの不足があると考えられる。また、そもそもBCPの策定に「必要性を感じない」と回答した企業が2割程度存在している。

経営法務 ~会計参与・会計監査人~

会計参与

会計参与とは、取締役と共同して計算書類及び付属明細書、臨時計算書類ならびに、連結計算書類を作成し、会計参与報告を作成する会社の機関である。会社法上の役員(同法第329条第1項)に該当する。新たに会計参与設置会社とするためには定款を変更しなければならないので、株主総会の特別決議が必要となる。会計参与が何らかの事情で欠けた場合に備えて、補欠の会計参与を選任することができる。会計参与の任期は、取締役と同様であり、原則として選任後2年以内に終了する事業年度の定時株主総会の終結の時までである。会計参与を新たに設置した場合には、その旨ならびに会計参与の氏名または名称および計算書類等の備え置きの場所を登記しなければならない。会計参与と監査役は株主総会に出席する義務がある(同法377、384条)。会計参与は計算書類等の承認を行う取締役会等の一定の場合について出席義務がある(同法376条1項)。監査役会の構成員となることは不可能である。
会計参与の職務と責任

会計参与が悪意または重過失により計算書類等に虚偽の記載を行い第三者に損害を与えた場合には、その損害賠償責任を負う。会計参与は、各事業年度の計算書類等を5年間備え置き、その業務時間内であれば株主や債権者からの閲覧や謄写等の請求に応じる義務がある。会計参与は計算書類等とは別に、計算書類の作成に関して情報提供を目的とする会計参与報告書を作成しなければならない(会社法第374条1項)。計算書類等が適正に表示されているかの意見を付したものを会計監査報告という。取締役会を設置する会社は監査役を置かなければならないが、会計参与設置会社では監査役の設置は不要となる。

経営法務 ~監査役・監査役会~

監査役

監査役は業務全体の監査(業務監査と会計監査) を行い、監査報告を作成しなければならない(会社法381条1項)。公開会社でなく、監査役会及び会計監査人を設置していない会社は、定款でその監査役の監査の範囲を会計監査に限定することができる(同法389条1項)。指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社は、取締役会と会計監査人の設置が必要であり、監査役を置くことができない(同法327条4項)。3つの委員会(指名委員会、報酬委員会、監査委員会)は、取締役3人以上で構成され、社外取締役を過半数にして監督機能を持たせている。 従って、監査委員会のメンバーである取締役が監査を行うため、監査役は置かない。ただし、会計監査人は置かなければならない(同5項)。監査役を設置し、会計監査人を設置していない場合は、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社の要件を満たさないことになる。 取締役会設置会社は、監査役を置かなければならない(同法327条2項本文)。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、監査役を置かなくてもよい(同2項但書)。
監査役の権限が会計に関するものに限定されている取締役会設置会社

会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律により、会社法施行直前に子会社(会社法施行前2006年4月30日以前に設立された会社で資本金が1億円以下の会社で旧商法特例法でいう小会社)であった公開会社でない株式会社については、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものとみなされる。したがって、定款に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めがないからといって、直ちに監査役の監査の範囲が限定されていないと判断することはできない。監査役の監査の範囲が会計に関するものに限定されている場合、監査役は取締役が提出しようとする会計に関する議案については、調査し、法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項がないときでも、その調査の結果を株主総会に報告しなければならない。監査の範囲を会計に限定する旨の定款の定めのある監査役は取締役会への出席義務はない(同法389条7項)。会計参与は計算書類等の承認を行う取締役会等の一定の場合について出席義務がある(同法376条1項)。会計監査に限定されない監査役は取締役会への出席義務がある(同法383条1項)。
監査役の設置条件

公開/非公開会社、取締役会設置会社、委員会設置会社による監査役の設置条件




















監査役は独任制の機関であり、監査役は各自が単独でその権限を行使できる。監査役は、会社の中にあって、取締役を監査しなければならないため、その独立性の保障が重要となる。具体的には、その任期を取締役の2年よりも長く4年にし、監査役の選任・解任についての株主総会での発言権が与えられ、報酬の面でも取締役から独立して決定され、また監査費用も確保されている。
監査役会

監査役会は、監査役3人以上で構成され、そのうち半数以上は社外監査役でなければならない(同法335条3項)。会社法上、監査役会設置会社とは「監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社」(会社法第2条9号)のことをいう。この「監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)」とは、公開会社でない会社において、監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを置いている会社(同389条1項) は、「監査役設置会社」ではないこと、要するに、監査役がいるのに、監査役設置会社にならない点に注意を要する。

2021年9月10日金曜日

中小企業経営・政策 〜2021年度版 中小企業白書 総論〜

中小企業白書

中小企業白書とは、中小企業基本法に基づき中小企業の動向や中小企業向けの施策を政府が毎年国会に提出する年次報告のこと。つまりこの白書の作成は法律で定められている。
2021年度版の中小企業白書

大きく第一部と第二部に別れる。2021年度版の特徴としてはやはり感染症に伴う影響を踏まえた内容が大きな割合をしめている。
第一部では中小企業の動向

  • 日本経済全体を俯瞰した上での中小企業の現状、雇用状況、取引環境、取り巻くリスク(第一章)
  • 多様な事業者、労働生産性、開廃業率の状況(第二章)
  • 中小企業の類型を4つ(地域資源型、地域コミュニティ型、グローバル型、サプライチェーン型)に分け、それぞれの目指すべき方向性とそれらに対する支援・政策(第三章)

第二部では危機を乗り越える力

  • 財務分析、資金調達、危機を乗り越えるための取り組みや事業環境の変化への対応など感染症の影響を踏まえた経営戦略(第一章)
  • デジタル化に向けた動向、現状、課題、組織改革(第二章)
  • 事業継承を通じた成長発展、M&Aを通じた経営資源の有効活用(第三章)

経営法務 ~取締役・取締役会~

取締役

取締役は、株主総会の決議によって選任される(会社法329条1項)。そして、株主総会の決議によって、何時でも解任することができる(会社法339条1項)。決議要件は、選任決議と同様に普通決議である(会社法341条、347条1項)。会社法の規定では、法人が取締役となることができないことが明文化されている(会社法331条1項1号)
取締役の第三者に対する責任

現代社会においては、株式会社は重要な機能を果たしており、取締役が任務を怠ったことにより、株主や会社債権者等の第三者が損害を受けた場合、それを保護するために取締役に第三者に対する損害賠償責任を負わせている。
①損害賠償責任を負う要件は、悪意または重大な過失である(商法266条の3-1項)。
②決議に賛成した取締役は、その行為をしたものとみなされる(商法266条2項)。
③取締役会の議事録に、反対したことを記載または記録しておかなかった者は、その決議に賛成したものと推定される(商法 266 条3項)。
④株主総会の適法な承諾決議を経ているが、実際には取締役としての任務を遂行していない取締役のことを名目取締役という。通説によれば、名目取締役であっても業務執行に対する監視義務を負い、それを怠れば第三者に対する責任を負うとされ、正規の取締役が任務を怠ったとされる事態について同様の責任が問われる。
⑤登記簿上に取締役または代表取締役として登記しているが、株主総会における選任決議を経ていない者のことを表見取締役という。通説によれば、表見取締役については就任登記に承諾を与えた者は、自己が取締役でないことを善意の第三者に対抗できず、正規の取締役が任務を怠ったとされる事態について同様の責任を負う。
⑥取締役の損害賠償責任については法定の特別責任のため責任の消滅時効期間は10年である。
代表取締役

代表取締役を解職する際には、会社法の手続きに従う必要がある。取締役会設置会社の場合には、取締役会決議で代表取締役を解職できる。取締役会決議の定足数や議決要件は、会社法に定めがあるほか、定款の規定により要件が加重されている場合もある。定款に別段の記載がなければ会社法の定めに従うので、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、出席取締役の過半数の賛成により解職できる。
社外取締役

社外取締役は会社法第2条第15号に「株式会社の取締役であって、当該会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことのないものをいう。」と定義されている。すなわち、現在および過去においてその会社または子会社の業務執行取締役または使用人でない(なかった)ことを社外取締役の要件とし、親会社関係者や重要な取引先の関係者等であっても要件を満たすことになる。また、社外監査役については、同第16号に「株式会社の監査役であって、過去に当該株式会社又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。」 と定義されている

①親会社等の取締役、使用人等は、現職である限り、子会社の社外取締役や社外監査役になることはできない。
②親会社等の子会社等(いわゆる兄弟会社)の業務執行取締役等は、他の兄弟会社の社外取締役や社外監査役になることはできない。
③自社の取締役、重要な使用人等の配偶者又は二親等内の親族は、社外取締役や社外監査役になることはできない。
執行役員と執行役の比較

(1)法律上の規定の有無

執行役は、委員会設置会社において設置が義務付けられているが(会社法第402条1項)、執行役員は会社法上の規定はなく、重要な使用人にとどまる。
(2)業務執行に関する意思決定の有無

執行役は、会社法416条4項に基づく取締役会の決議により、委任された事項について業務執行の決定を行い、業務を執行するが(同法418条)、執行役員は意思決定を直接行わず、取締役の意思決定のもとで業務執行することになる。
(3)法的義務および責任

執行役は、取締役の忠実義務、競業避止義務および利益相反取引の制限等の規定が準用され(会社法第419条2項)、役員等の株式会社に対する損害賠償責任の主体(同法423条1項)となることが規定されているが、執行役員にはこのような規定はない。
執利益相反取引

自己のために利益相反取引(直接取引)した取締役は無過失責任を負う(会社法428条1項)。故意または過失が存在しないことを証明しても、損害賠償の責任を免れることができない。自己のために利益相反取引(直接取引)した代表取締役は、任務を怠ったものと推定されるが、総株主の同意があればその責任を免除される。取締役の損害賠償責任を一部免除するためには①株主総会の特別決議(会社法425条1項、309条2項8号)、②定款の定め及び取締役会決議(会社法426条1項)、③定款の定め及び責任限定契約(会社法427条1項)のいずれかによる。

2021年9月2日木曜日

中小企業経営・政策 〜中小企業の定義〜

中小企業者の定義


「サンサン、イチイチ、ゴイチゴゴ」と覚えました。

製造業その他とは、製造業、建設業、運輸業と(卸売業、小売業、サービス業を除く)その他の業種を指す。
宿泊業、飲食サービス業のうち「飲食店」と「持ち帰り・配達飲食サービス業」は小売業に分類される。
宿泊業、飲食サービス業のうち「宿泊業」はサービス業に分類される。サービス業に分類されるのは以下のとおり








中小企業関連立法においては、政令によりゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金3億円以下または従業員900人以下、旅館業は、資本金5千万円以下または従業員200人以下、ソフトウエア業・情報処理サービス業は、資本金3億円以下または従業員300人以下を中小企業者とする場合があり

「サンキュー、ゴニ、サンザン」と覚えました。

小規模企業者の定義





「ニゴー」と覚えました。

中小企業関連立法においては、サービス業の内、宿泊業・娯楽業で常時雇用する従業員 20 人以下を小規模企業とする場合があり


経済学・経済政策 〜独占〜

 独占市場の利潤最大化条件はMR(限界収入曲線)=MC(限界費用曲線)である。MR=MCの生産量に対応する価格を設定することで利潤が最大化する。 総収入が最大となるのはMR(限界収入曲線)=ゼロである。 独占的競争では、多数(無数)の企業が相互に差異化した財・サービスを供給する。...