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2021年1月9日土曜日

企業経営理論 〜組織構造〜

組織構造

企業組織を取り巻く環境の不確実性と多角化の程度という2つの軸で分類すると以下のとおり
















機能別組織(functionally departmentalized organization)

機能別組織は、取り扱う製品が少なく事業構造が単純な場合に採用され、専門別に部門化されるので、各機能部門長はそれぞれの機能の範囲で管理責任を負い、トップマネジメントが部門間の調整の役割を果たす。命令系統が明確で集権的な管理が可能であり専門化に基づく知識や経験の蓄積が容易で部門内における規模の経済性を得やすい。一方で、機能別に組織が分かれているため、各部門長は各機能を部分的に担うため、会社全体をマネジメントすることはない。そのためトップマネジメントを養成することは、事業部制組織に比べ困難となる。環境変化への機動的な対応は困難であり、営業部門と製造部門でコンフリクトが発生する等の可能性は高くなる。

・メリット
①生産や購買の集約により共通の費用に抑えることが可能
②同じ機能のメンバーが一つの部門に集まるため専門性を高めやすい
③各機能の調整に必要な意思決定がトップまで上がるため中央集権的な管理が可能
④トップと現場との距離が近ければ迅速な意思決定が可能

・デメリット
①組織規模の拡大によりトップと現場の距離が長くなると迅速な意思決定が困難になる
②機能部門ごと評価が異なり部門間のコンフリクトが発生しやすい
③トップが機能別部門間で発生したコンフリクトの調整に忙殺される

・留意点
①規模の拡大につれて多重階層を形成し、組織の情報処理能力が低下する
②トップマネジメントの機能低下や部門間対立が起こりやすい
③分化した部門の統合には公式の統合担当者が必要になる
事業部制組織(divisional organization)

事業部制組織は、製品別・地域別・顧客別等に分割された事業部によって構成され、それぞれの事業部が独立採算のプロフィットセンターとして利益責任を負い、あたかも一つの企業のように各事業部が構成される。すべての事業部を統括する本社は、企業全体の方針や戦略を決定し、各事業部門に経営資源を配分する役割と事業部間の調整の役割を担う。本社は企業全体の方針戦略決定に注力でき、資源配分と事業部間調整を行うことに専念できるため、業務的意思決定、管理的意思決定から解放されオーバーヘッドコストは抑えることができる。事業部ごとの独立性を高めることで、利益責任を明確化することができる反面、利益配分や優先的な投資権利を勝ち取る方向で作用するため、複数の事業部にまたがる統合的な製品の開発を行うことは困難である。

・メリット
①事業ごとに事業部が編成されるため、利益責任が明確化される
②事業ごとに事業部が編成されるため、事業部間の調整コストが軽減される
③限定された事業環境に特化しているため、当該環境下において的確で迅速な意思決定、対応ができる
④事業部の業績評価に基づいた資源配分とコントロールが容易になる
⑤事業部長に大幅な権限が委譲されるため、経営者としての訓練、育成ができる

・デメリット
①本社が各事業部の状況把握ができず、事業部の逸脱した行動をコントロールしづらい
②利益責任の遂行に必要な職能、機能を事業部内に組織するため、設備や人員に無駄となる重複が生じやすい。
③短期業績志向が強まり、長期的視点での戦略や取り組みが抑制されやすい
④事業部間で壁が生じてしまい、事業部間のコミュニケーション不足や事業間の調整が困難になる
⑤事業部間の人材や技術交流が滞ってしまい、情報共有が不十分になる
マトリックス組織(matrix organization)

マトリックス組織には、通常の事業部制を採用している企業が、事業横断的なプロジェクトチームを結成する一時的なマトリックス組織と、各事業部における営業・生産・購買といった各機能を横断的に恒常的な機能部門として纏め上げるマトリックス組織がある。マトリックス構造の長所は、組織が相互に依存した複数の複雑な活動を行っている場合、コーディネーションが促進される点にある。マトリックス組織のデメリットは、複数の命令系統(ツー・ボス・システム)となり、命令一元化の原則に抵触することである。言い換えれば、複数の命令系統に柔軟に対応し、複数の命令系統があることにより発生するコンフリクトを創造的に解決することができれば、柔軟で機動的なマトリックス組織のメリットを活かせることになる。複数の命令系統に柔軟に対応するためには、組織文化の裏づけが必要である。マトリックス組織を採用するためには、組織間のコミュニケーションが闊達で、共通目的に対する強いコミットがあるといった組織文化の裏づけが必要である。一般的にマトリックス組織を採用している企業では、機能マネジャーか事業マネジャーのどちらかの権限を高めておくことで2人の上司間の調整を行いやすいようにしている。

・メリット
①顧客からの2通りの要求に応えるために必要な調整ができる
②経営環境の頻繁な変化や複雑な意思決定に対応できる
③規模の経済性の追求や高い業績目標を達成するために経営資源が共有化される
・デメリット
①機能マネジャーと事業マネジャーの間にコンフリクトが生じやすい
②頻繁なすり合わせや葛藤処理の煩雑さに各マネジャーの時間がとられる
プロジェクト組織(project organization)

プロジェクト組織は、複数の部門にまたがる特定の問題解決のため、臨時横断的に各部門から職能別の専門家を集めて組織される。両者ともに不確実性が高い場合に採用される。マトリックス組織が恒常的組織であるのに対し、プロジェクト組織は臨時発生的組織であり、課題を解決すると解散する。それゆえ、プロジェクト組織は多角化の程度が低い場合に適する。プロジェクト組織では、機能マネージャーではなくプロジェクトマネージャーに大きな権限が付与される。
カンパニー制

カンパニー制は現在の事業部を再編していくつかのグループに分け、人事や予算の決定権、経営責任など事業に必要な機能を全て委譲した、独立性の強い社内組織形態である。社内分社制とか擬似会社制ともいわれる。カンパニー制においては、ROE(自己資本利益率、株主資本利益率)、ROI(投下資本利益率)、キャッ シュフローなどの収益管理を特に重視する。そのため、社内資本金制度によるストック管理や設備投資・人材などの資源までをも管理するという投資・運用責任がある。このことからカンパニー制をインベストメントセンターという。アメリカ型の事業部制組織はインベストメントセンターであり、出資者としての本社と権限委譲された経営者としての事業部長という擬似的な資本市場が存在することから、アメリカ型の事業部制組織はカンパニー制と捉えることができる。カンパニー制のデメリットとして、シナジーが発揮できなくなることが 挙げられ、各カンパニーが部分最適を求めると全社最適のビジネスモデルが組めなくなる。その結果、同一業界でカンパニーに個別最適を許容すれば重複した経営戦 略を策定してカニバリゼーションを起こす可能性がある。
純粋持株会社

製造や販売といった事業は行わず、 株式を所有することで、他の会社の事業活動を支配することを事業目的としており、子会社からの配当が売上げとなる。純粋持株会社の設立は、迅速な意思決定、責任・権限の明確化、 個別事業の競争力の強化などが主な目的である。また、純粋持株会社のリーダーシップが高くなりすぎると、実質的に従来の事業部制やカンパニー制と変わらない経営となり、他方、事業会社の自立性を伸ばすことに注力しすぎるとグループとしての一貫性に欠けた事業展開が進められる危険性がある。純粋持株会社の成功には、自立性の促進と求心力維持という高度なバランス感覚が求められることになる。株式の所有を通して子会社からの配当を得ることを事業目的としており、傘下の企業の経営戦略の標準化や、雇用形態や労働条件の設定を標準化する機能は持たない。
チームとグループ

チームとグループ

チームとは個々のメンバーが集団的な業績を目標としてメンバー同士の協調を通じてプラスの相乗効果を生み出そうとする。グループはメンバーが個人の責任分野内で業務遂行の助け合いを目的としている
チーム活用の際の留意点

チームで業務を遂行する場合、個人で業務を遂行する場合に比べて一般的に多くの時間と資源を必要とし、コンフリクトが顕在化する傾向にある。チームで業務を遂行することによるメリットがこのような代償を上回る必要がある。
チーム活用の判断基準

①業務の複雑性と異なる視点の必要性:その業務を遂行する上で複数メンバーでの対応や多様なスキル経験が必要とするかどうか
②価値のある目標への到達の必要性:その業務目標が単なる個別目標の合計ではなく、それ以上に価値のあるメンバーの共通目標につながるかどうか
③相互依存関係の必要性:その業務において、チームメンバー同士が相互依存関係にあるかどうか

2021年1月6日水曜日

企業経営理論 〜技術ベンチャー〜

コンカレント・エンジニアリング

コンカレント・エンジニアリングは、製品開発やシステム開発に従事するすべての人が、業務を協調しながら同時進行させることで、開発リードタイムの短縮やコストの削減を図る手法である。この手法は、頻繁な条件変更や大幅な設計変更への迅速な対応を可能にするとともに、後工程の持つ知見を前工程にフィードバックすることができる。新製品の事業化では、製品開発の各段階で顧客や市場の評価を早期に把握し製品コンセプト、製品仕様、原価目標に組み込むことが重要である。各段階で顧客ニーズとの適合性を直接チェックし、その結果を開発活動にフィードバックして、場合によっては開発段階が後戻りすることを許容する方が新製品の迅速な立ち上げに有利に働く。また、製品コンセプトが凡庸であればそれ以降の開発プロセスが良くても製品のインパクトは小さくなる。コンカレント・エンジニアリングでは、プロジェクトの段階を分割し、分割した段階をオーバーラップさせる場合、綿密な部門間コミュニケーションがあれば開発期間は短縮される。

 

2021年1月5日火曜日

企業経営理論 〜技術経営と技術イノベーション〜

オープン・イノベーション

オープン・イノベーションとは、社外の組織や資源を活用しながら、社内の新規事業を推進しようとする動きを示す用語でる。チェスブロウは、オープンイノベーションを、「企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、価値を創造すること」としている。基盤技術の開発は従来型のクローズイノベーションの方が促進されやすい。一方、大学の研究室や、企業の中央研究所で眠ってしまっている基盤技術を事業化するためにはオープンイノベーションがかかせない。有望な技術やアイデアは既存のマーケットより、新規のマーケットにおいて評価されることが多いので、他社による活用が進むオープンイノベーションのアプローチが有効になる。基盤技術の開発などのコラボレーションというよりも、事業化レベルのコラボレーションを促進するという特徴がある。
オープンイノベーションのメリット

①企業外部の経営資源の探索プロセスにおいて、企業内部の事業開発に対する競争圧力が強くなり、組織の活性化につながる
②企業外部の優秀な人材と共同で新規事業開発ができ、内部の開発コストの低減が期待できる
③より高い専門性を持つ企業との連携などによって、事業開発プロセスのスピードアップにつながる
リバース・イノベーション

リバース・イノベーションとは、新興国子会社から先進国親会社へと展開されるグローバル戦略を示す用語である
ネットワーク外部性

利用者が増えれば増えるほど利用者当たりの便益が増加することを示す用語である。通信業界やゲーム業界で主に用いられる経済性である。
バウンダリー・スパニング

バウンダリー・スパニングとは、オープンイノベーション等の場において、ある個人(バウンダリー・スパナー)が2つの集団の架け橋(スパニング)となって2つの集団を結びつけることである。
渉外担当者(boundary personnel)

渉外担当者は、組織内外の接点に位置するゲートキーパーとしての役割を持つため、組織革新の誘導者となることもある。外部組織の専門性の高い技術情報の収集や、協力企業・外部人材との連携を担う。
デファクト・スタンダード

国際機関や国家、業界団体が会議等で決定する「デジュール・スタンダード/公的標準」とは異なり、市場競争を通じて勝ち得た事実上の規格(業界標準)としている。公的標準を定めるには時間がかかり、事業機会を逸してしまうことになるので、様々な規格について市場競争をおこない、最終的に生き残った規格を業界標準とする考え方である。自社規格をデファクト・スタンダードとして残すためには、他社との戦略的提携の方法が課題となる。ビクター陣営はビデオテープ、インテルはPCIバスの規格でデファクト・スタンダードとするために技術情報を他社に公開し、提唱した規格の製品の市場への供給量を増やし、最終的に規格を業界標準とした例が有名である。
研究開発の成功を阻む要因

基礎的な研究が単なる研究で終わらずに製品化段階へと進めるかどうかの「魔の川」、製品化されたプロジェクトが生産ラインや流通チャネルの確保を実現して事業化段階へ進めるかどうかの「死の谷」、事業化されて市場に出た製品やサービスが他企業との競争における自然淘汰を生き抜けるかどうかの「ダーウィンの海」である。
魔の川

対応策として、基礎技術や高い要素技術を必要とする領域は大学に任せ、TLOを活用して連携を積極的に行うことなどによって回避を試みる。
死の谷

「死の谷」とは、NIST(National Institute of Standards and Technology:米国標準技術局)が示した概念であり、基礎研究を製品開発ないし事業化に結びつけるまでの間に深い谷があり、その谷を乗り越えることが困難であることを示している。多くの基礎研究やアイデアは製品に結びつく前にその谷に落ちてしまい、製品化まで至らないことが多い。その理由として、①基礎研究を製品開発 に結びつける段階は、不確実性が高いために事業化の見極めが困難であること、②基礎研究を応用研究に発展させるための資金が不足しがちであること、等があげられる。対応策として、所有している特許権や意匠権などの知的所有権のうち、一部の専用実施権を第三者企業に付与することや、社内プロジェクトメンバーについての担当の入れ替え、メンバーの権限付与の見直しなどによって回避を試みる。
ダーウィンの海

「ダーウィンの海」とは、ハーバード大学のブランスコム教授が示した概念であり、新しい技術を事業化に結びつけることの困難さを示すものである。新技術を製品化することに成功したとして も、それを事業化して利益をもたらす1つの柱にするためには、外敵(競合製品や競合他社、代替品)が数多くいる海を泳ぎきらなければならず、多くの製品がその海を渡りきれずに淘汰されてしまうことを意味している。対応策として、大手企業とのアライアンスやファブレス生産に取り組み、生産、販売、マーケティング、アフターサービスが一体となった体制などによって回避を試みる。
イノベーションのジレンマ

「イノベーションのジレンマ」とは、企業が技術進歩と市場変化のペースを読み誤り、顧客ニーズにマッチしない不要に高技術の製品を開発してしまうことで起こる失敗である。これを防ぐためには顧客ニーズを把握することが必要であり、研究開発要員が日常的に市場との対話の機会を持ったり、市場調査を行ったり、顧客と接点のある営業部との連携するなどが効果的と考えられる。
イノベーター理論および市場の「キャズム」

M・ロジャーズが提唱したイノベーター理論では、消費者は「イノベーター(革新者/2.5%)」、「アーリーアダプター(初期採用者/13.5%)」、「アーリーマジョリティ(前期追随者)」、「レイトマジョリティ(後期追随者)」、「ラガード(遅滞者)」の5つに分類され、新製品や新サービスは、「イノベーター」と「アーリーアダプター」を合わせた16%の層に受け入れられた段階で、急速に普及していくとした。これに対してA・ムーアは、利用者の行動様式に変化を強いるようなハイテク製品においては、5つの区分の間には溝(クラック)があり、中でも「アーリーアダプター」と「アーリーマジョリティ」との間には「深く大きな溝(キャズム)」があるとした。その理由は、「イノベーター」や「アーリーアダプター」は流行に敏感で他人と異なることを良しとして、積極的に新しい製品を採用する傾向にあるのに対し、「アーリーマジョリティ」は安定や安心を重視しており、多くの人が採用していることに安心感をもつ傾向にある。そのため両者の要求は根本的に異なっており、新製品や新サービスが「アーリーアダプター」の段階から「アーリーマジョリティ」へと移行するためには、マーケティングのアプローチを変えていく必要があるとした。
新しいモノ好きの層(イノベーター)

新しいものを進んで採用する冒険好きの採用者グループであり、リスクがあっても新しいアイデアを試みる性格を持ち、イノベーションの普及過程において最初の採用者グループとなる。
目利きの層(アーリー・アドプター)

イノベーションを採用することによる変革に積極的である。自身の関心によって行動する採用者グループで、早い時期に、しかし慎重にイノベーションの評価を行う。また、共同体のオピニオンリーダーとして、他者の採用の意思決定に影響を与える。オピニオンリーダーは、イノベーターではなくアーリー・アダプターと呼ばれる人々であることが多い。
流行に敏感な層(アーリー・マジョリティー)

変革に消極的であるため、有用な先行事例や他社の評価をもとにイノベーションの採用判断を行う傾向がある。よって、目利きの層における集団に影響 を与える層(オピニオンリーダー)に評価され、そこから発信される口コミなどが重要になる。
流行を後追いする層(レイト・マジョリティー)

大衆マーケットを構成している新しいアイデア に懐疑的な採用者グループであり、大多数の人が試みた後にイノベーションの採用を検討する。
無関心の層(ラガード)

伝統に縛られた採用者グループで、変化に対して懐疑的な性格を持っており、イノベーションが 新たな伝統ないしは文化となった時点で採用を試みる。
生産形態

ファブレス企業

工場を持たずに主として製品の企画や設計に専念する企業をファブレス企業と呼ぶ。
ファウンドリー企業

顧客の設計図をもとに電子部品等の製造を請け負う企業をファウンドリー企業と呼んでいる。
EMS企業

EMSとは、Electronics Manufacturing Serviceの略で、複数メーカーから電子部品の製造を請け負う、製造専門企業である。
ODM企業

発注元のブランドや仕様に基づいて電子部品等を設計し製造する企業をODM企業と呼んでいる。
共創(co-creation)

共創とは企業(メーカー)と消費者が共に製品開発を行うこと。近年多くの企業によって導入されている。共創によって消費者と共に製品開発を行おうとする企業が増えつつある現状に対抗して、伝統的な方法により自社内の経営資源のみに基づいて製品開発を行う方が優れた製品を開発できると考える企業もあり、このような企業の考え方や行動様式は一般に「シーズ志向」と呼ばれることが多い。
エフェクチュエーション(Effectuation)

成功した起業家たちに共通する考え方を体系化した論理のこと。成功した起業家に共通する論理を発見し、エフェクチュエーションと名付けたのが、サラス・サラスバシー教授です。エフェクチュエーションの要素を次の5つの原則として整理している。
手中の鳥の原則(Bird in Hand Principle)

不確かな未来よりも、今、確実にあるもの(アイデンティティ・知識ベース・社会的ネットワーク)を重視するもので、例えばこれまでの経験で得た自分の知識や、親類縁者からSNSのつながりを含めたあらゆる「知り合い」を具体的に書き出していき、目の前の確実にあるものに目を向けます。
許容可能な損失の原則(Affordable Loss Principle)

たとえ失敗したとしても致命傷にならないように挑戦することを重視します。例えば、手持ち金が100万円で何か小物商品を作って販売する場合、いきなり家賃が月10万円の店舗を借り、さらに会社も退職して退路を切って始めたとしても、全く商品が売れなかったら再起不能になります。それならば、すでに店舗を持つ知り合いのツテなどを利用して商品を販売させてもらえないかといった交渉をしたり、無料ECサイトとSNSのアカウントで自分の作品をネットで売り始めるなどのやり方がまだ現実的ですし、失敗してもやり直せます。
クレイジーキルトの原則(Crazy Quilt Principle)

クレイジーキルトとは、柄や色、形の異なるさまざまな布の断片を縫い合わせたもので、パッチワークキルトとも呼ばれます。サラスバシ―教授は、さまざまなパートナーが協力して1つの事業が生み出されていく様子を、不揃いな布が1つの作品に縫い上げられていくクレイジーキルトに例えています。起業家がさまざまなパートナーと交渉し、協力を得て、一緒に事業を創造していく共創的なプロセスを指します。
レモネードの原則(Lemonade Principle)

「人生にレモン(逆境)がもたらされたなら、レモネードを作れ」英語のことわざに由来します。つまり「人生で逆境や不運と思われる事態に陥っても、前向きに捉えてチャンスに変えてしまえ!」という意味です。
パイロットの原則(Pilot in the Plane Principle)

高性能の自動運転機能を搭載した飛行機においても、いざ飛行を開始したら天候の変化や機内でのアクシデント、機材のトラブルなどに対応するためにはパイロットが必要になります。予想外の状況に直面しながらも、パイロットは全神経をコックピットのなかの情報と操縦桿に集中するように、今ここでできることに集中して、状況をコントロールすることになります。
リーンスタートアップ理論

リーンスタートアップは「痩せた」「細い」「脂肪のない」などの意味を持つリーン(lean)と、スタートアップを組み合わせた言葉です。リーンは主に人や動物に対して使われる言葉ですが、これをビジネス向けに置き換えると「無駄をそぎ落としたビジネスモデル」となります。アメリカの企業家エリック・リース氏が提唱したビジネスモデルで、「仮説構築」「計測・実験」「学習」「再構築」の4つのステップにて実施されます。

2021年1月3日日曜日

企業経営理論 〜事業の経済性①(規模の経済等)〜

規模の経済

規模の経済はある一時点における静態的効果である。規模の経済性は、ある製品の生産・販売で大きな事業規模を確保することで事業のコスト効率を高める。つまり、事業の規模を大きくすることで製品当たりの固定費を広く薄く負担させることである。工場の月の固定費が100万円だった場合、月に1個の製品を製造したらその製品の1個あたりのコストは100万円/個である。月に100万個の製品を製造した場合の1個あたりのコストは1円/個である。規模の経済は大量に製造し、製品あたりのコストを下げることを狙う。
クリティカルマス

クリティカルマスとは、ある商品・サービスが、爆発的に普及するために最小限必要とされる市場普及率のことである。
範囲の経済

範囲の経済とは、複数の事業を別々の企業が行った場合の総費用と比べて、1企業で行った場合の総費用が低くなることを意味する。なお、多角化が進みすぎると新たに進出した事業と企業の保持しているコア・コンピタンスとの関連性が希薄になって生じなくなる。
シナジー(相乗)効果

同一企業が複数の事業を展開することから生じる「シナジー効果」は、範囲の経済を構成する中心的な要素の1つである。シナジー効果は情報的資源を用いて生み出す経済効果である。シナジー効果は掛け算と捉えることもできる。静的シナジーとは、時間に依存せず一時点で生じるシナジーのことであり、動的シナジーとは、技術革新など時間の経過によってもたらされるシナジーのことである。長期的な視点においては、効果の発生が長期的となる動的シナジーが望ましい。
コンプリメント(相補)効果

コンプリメント効果は物的資源を用いて生み出す経済効果である。コンプリメント効果は足し算と捉えることもできる。複数の製品分野での事業が互いに足りない部分を補い合うことで、企業全体として売上の季節変動などを平準化するといったような、遊休資産や工場の空いている時期などを利用して別の製品をつくるような場合に生まれる経済効果をコンプリメント効果という。
経験効果

経験効果は累積経験量をベースとした動態的効果である。累積生産量を増やせば、専門特化による熟練形成が促進され、生産・販売のコストが低下する効果をいう。
経験曲線

経験曲線とは、累積生産量が2倍になると、単位当たりの生産コストが10%~30%低減する経験則のことをいう。累積生産量の増加にもとづくので、小規模生産よりも大規模生産で効果が実現する。経験曲線が生じる理由の1つに、労働者の習熟による作業効率の向上がある。労働集約的な生産においても経験曲線効果が発生する。
収穫逓増

収穫逓増とは、資本投入量を拡大すると、その拡大の度合い以上に収益が高まる現象のことをいう。ある製品の普及率が増加するにつれて、その製品を使用するメリットが増大する。使用するメリットが増加すればその製品の使用者が増加し、さらにシェアが拡大する。その具体例として、パソコンのOSのウィンドウズをあげることができる。この場合、シェアがシェアを呼ぶので、先行商品が有利となる。
収穫逓減

収穫逓減は、投入する経営資源の単位当りのリターンが、経営資源の追加的投入につれて低下していくことを意味する。

2021年1月2日土曜日

企業経営理論 〜戦略グループ〜

 戦略グループとは業界内の企業をその戦略の特徴に応じて便宜上グルーピングした集合体であり、同一業界内で類似の戦略をとる企業(事業)の集団を戦略グループという。例えば、製品差別化を重視するグループと、コスト重視の戦略をとるグループといった場合である。

戦略グループの特徴

似通った戦略グループ

工程全体を単一企業が請け負う垂直統合型の生産形態では、合理性の追求により生産体制や製品ラインが自然に同業者と似通ってくる。顧客層と製品ラインの幅を考慮して、最適生産規模を追求したり、共通コストの節約を図ると、次第に一貫した戦略行動になるので、似通った戦略グループが生まれやすくなる。
戦略グループの競争

戦略グループは便宜上グルーピングされた集合体に過ぎないため、戦略グループの形成はグループ内での競争になんら影響を及ぼさない。
複数の戦略グループ

ひとつの産業内であっても、市場や製品ラインの絞込みにより各企業の戦略は異なってくるため、戦略の特徴をグループ化した場合に複数のグループが発生する。
戦略グループが直面する脅威や機会

ひとつの産業内に形成された複数の戦略グループでは、市場や製品ラインの絞込みの方法が異なる。同一産業内の戦略グループ間で収益が異なるのは、それぞれの戦略グループが直面する脅威と機会は異なる。
業界の構造分析

多数乱戦(市場分散型)業界

多数乱戦(市場分散型)業界は、規模の経済または経験曲線が効かないとされているが、対策の方向性の一つに「規模経済や経験曲線が作用できるような環境を用意する」ことが挙げられている。そのためこの業界は規模の経済が効きにくいものの、完全に作用しないとまではなっていない。多数乱戦(市場分散型)業界ではニーズに多様であり人手によるサービスが決め手になるが、この対応策として「競争の戦略」には「多様なニーズを標準品で対応する」、「吸収合併により規模を大きくする」等が挙げられ、集約・ 統合戦略も有力な手段である。
成熟業界

成熟業界では、新製品開発の可能性が少なく、成長が鈍化するために、多くの企業は、プロセス革新や現行製品の改良に力を入れるようになり、企業間のシェア競争が激化する
衰退業界

衰退業界では業界全体の売上規模が継続的に減少し、業界内の企業は多くの脅威に直面している。投資を増強する内部成長より、競合企業を買収する方が適する

継続的に売り上げが減少している衰退業界の対応策として、以下が挙げられる。
①リーダーシップ戦略:縮小した業界で唯一生き残りリーダーの地位を確保、競合他社の市場退出を促す
 a.競合企業の製品ラインを買収してからその製品ラインを縮小させる
 b.競合他社の製品向けの部品を生産して供給を開始する
②事業領域をさらに絞り込み集中させるニッチ戦略:安定なセグメントで生き残る
③投資を回収して撤退する収穫戦略:事業への投資を抑えて収益を最大化する。業界内においてある程度の地位を確立していることが必要。収穫した後は業界内のリーダーに売却するか操業停止する。
④即時撤退戦略:できるだけ早く投資を回収して撤退する
マーケティングにおける競争の次元

マーケティングにおける競争の次元として4つの競争がある
①ブランド競争

ブランド競争とは、同じ製品カテゴリー内での競争環境を示すものである。缶コーヒーを例にとれば、製品カテゴリー内において、「○○コーヒー」、「△△コーヒー」、「○○コーヒー深煎り」などのブランド競争が繰り広げられている。
②産業競争

産業競争とは、同じ産業間での競争環境を示すものである。缶コーヒーを例にとれば、飲料業界内において、缶コーヒーは緑茶、紅茶、炭酸飲料などとの競争環境にある。
③形態競争

形態競争とは、同じ便益を得られる製品間の競争環境を示すものである。缶コーヒーを例にとれば、缶コーヒーは「コーヒーを安価ですぐに飲む」という便益において、コンビニエンスストアやファーストフードチェーンが提供する安価な淹れたてコーヒーとの形態競争が繰り広げられる。
④一般競争

一般競争とは、消費者の消費支出を奪い合う競争環境を示すものである。缶コーヒーを例にとれば、缶コーヒーは嗜好品としての側面が強く、他の嗜好品や消費者にとっての生活必需品などとの一般競争が繰り広げられる。

2021年1月1日金曜日

企業経営理論 〜ポーターの3つの基本戦略〜

 ポーターの3つの基本戦略にはコスト・ リーダーシップ戦略、差別化戦略、集中戦略がある


















コスト・リーダーシップ戦略

競合他社よりも原材料・生産・流通・販売などのコストを、標準化による効率化や大量生産によって低く抑えることを追求する戦略である。内部留保を活用して、同業他社との合併を進めることで市場シェアを拡大し、規模の経済や経験効果を高めて、コスト優位性を生み出して収益の拡大を図る。
差別化戦略

顧客に対して競合他社とは異なる価値を提供する戦略であり、差別化の方法には、製品機能・ブランドイメージ・顧客サービス・販売チャネルなどがある。差別化が難しい汎用品による乱戦状況を改善するべく、加工の水準をあげて顧客の信頼を得たり、顧客に利便性の高いサービスを付け加えたりして、自社製品の付加価値を高めて、根強いロイヤルティをもつ顧客層の拡大を図る。
信用的な属性

信用的な属性とは、購入・体験によって認知されるだけではなく、専門家の口コミなどの情報が重視される。例えば、歯の治療やパソコンの修理などは、購入・体験した人しかわからない。そのため、未体験者を含めて信用してもらい、製品・サービスの差別化を図るためには、 広告や宣伝活動が有効になる。
探索的な属性

探索的な属性とは、購入前に情報収集し判断できるものである。例えば、洋服や家具などが考えられ、企業のイメージ広告や宣伝活動よりも製品のデザインや形状などの物理的な違いによる差別化のほうが有効である。
経験的な属性

経験的な属性とは実際に購入・体験しないと評価が難しいものであり、例えば、美容院のカット、レストランの食事などが考えられる。これらの製品・サービスに対しては、広告や宣伝活動などによるブランドイメージ
よりもヘアカタログ、料理メニューといった目に見える違いによる差別化が有効である。
集中戦略

集中戦略はコスト集中か差別化集中に分類され、特定の市場セグメントや流通チャネルに集中して、コスト低減を図るか、差別化を図っていくか、もしくはその両方を目指すものである。コスト集中では、多数の企業が乱立する原因である多様な市場ニーズに対応するべく、製品の設計を見直して生産コストを大幅に切り下げて、標準品が買い得であることを理解してもらい、規模の経済を基に競争優位をつくり出す。

商業簿記 〜株式会社設立と純資産〜

株式発行にかかる費用 創立費 新規に株式会社を設立する際の定款作成や登記にかかる費用のこと。 株式会社の設立前 にかかる費用。 最低でも24万円(定款認証に9万円、設立登記に15万円)かかる 株式交付費 株式の増資時にかかる費用のこと。 株式会社が設立した後 の費用。 開業費 株...